星空を撮影する時の機材と設定について

星空の写真に興味を持ち自分でも撮影してみたいと張り切って、真っ暗なピンボケからスタートして約10年。インターネットで必要な機材とカメラの設定を検索して、数多くのブログを参考にさせていただきました。それから試行錯誤を繰り返し機材の入替えも重ねて現在に至っています。


撮影は登山がメインなので星の撮影は年に数回しか行けないけど、それなりに機材も充実してきました。機材選びは人それぞれ経験を重ねながら選定していくので、何がベストなのか、何が正解なのかは個人差があると思います。
現在の撮影機材が決して完成形ではありませんが、これから星景撮影を始めようとしている方に少しでも何かのヒントになればと思い、あくまで素人レベルの機材ですが紹介させていただきます。

プロを目指している方や、資金が潤沢にある方はこの記事をすっ飛ばして、Gitzo(ジッツオ)、Really Right Stuff(リアリーライトスタッフ)、ARCA-SWISS(アルカスイス)等を検索したほうが幸せになれます。

一度は使ってみたいポータブル赤道儀。

ポータブル赤道儀はビクセンのポラリエ。低コストで導入できる入門用の赤道儀です。星の動きに合わせて動くモーター駆動式のカメラ雲台。三脚にポラリエとカメラをのせて撮影することで、星を点像のままに撮影できます。


フルサイズ一眼レフカメラと雲台と赤道儀で2.7kg。この重さに耐えられる耐荷重5kgのマンフロットギア付き雲台。アルミニウム製で自重が1.2kgありますが、プラスチック製のギア雲台と比較するとブレにはかなり強いです。3本のノブで微調整が可能なので極軸合わせが楽になります。


三脚は全ての重さに耐えられるマンフロットのプロ三脚 055シリーズ カーボン3段。耐荷重は9kg。ポール直径は29.2mmと太くて安定感がある。

最初は難しい極軸合わせも慣れると簡単。


カメラと赤道儀を三脚にセットした後は極軸合わせ。最初の頃はこの作業で20分はかかっていましたが、手順に慣れると数分で出来るようになります。明るい昼間の写真での説明ですが、実際は暗闇でのセッティングです。まず最初に赤道儀を三脚ごと北極星のある北に向け、ポラリエの水平を出します。レベラーも使いますがスマホのコンパス機能も便利。水平が保たれていないと後々極軸がずれてくるので必ず水平出しはしましょう。


次に真北に向けますがここで注意が必要です。方位磁石が指す北と、真の北は違います。真北は地図上の北方向、磁北は磁石のさす北方向です。地球上のどこにいても真北と磁北には差異があり、この角度を「偏角」とよびます。日本国内では西偏角度でおおよそ9〜4度。つまり方位磁石は西に偏っているので、東京では7度、沖縄では4度、北海道では9度、赤道儀の方向を東(右方向)に振ってやると真北を向きます。


登山の地図読みでも偏角は重要です。地図の上部が真北なので、その地域に合わせて地図上に赤いラインで磁北線を引きます。登山時はこの磁北線がないと正確な地図読みは出来ません。遭難時に9度違いで進むと大変な事になります。北海道大雪山では9.3度でした。


ポーラメーターがあると便利ですが、動きが遅いのが難点。針は動かず文字盤か回転するめずらしいタイプのコンパス。

このポーラメーターは誤差があって使い物にならないというレビューを見かけます。個体差なんでしょうか、登山用のコンパスとポーラメーターを比較してみました。この個体は正確に磁北を指していると思います。


次に現在地の緯度を調べて地平線からの角度を合わせます。緯度43.7…なのでだいだいの角度でセッティング。


角度がわかるレベラーがあると便利です。


北極星が見えていればポラリエの右上に付いている丸い穴から星空を覗いて、北極星が穴の中心に来るようにギア雲台を微調整します。ここまで出来たらだいだいOKです。望遠レンズで星雲等の天文写真を撮影する場合はもっともっと追い込む必要がありますが、自分の場合は広角レンズでの星景撮影が多く、稀に85mm単焦点レンズを使用する程度なので、ここまでセッティングできたら撮影を開始します。

極軸望遠鏡も持っていますがほとんど使っていません。この商品はカメラを取付けたまま極軸合わせが出来ないという欠点がある。


極軸合わせが終わったら三脚とギア雲台には一切手を触れないように、ポラリエに取付けた自由雲台でカメラを撮りたい方向へ向けます。暗闇での水平出しはレベラー無しでは不可能です。


雲台に付いているレベラーとカメラ上部のレベラーで水平を確認しながら撮影します。

カメラもピントも全てマニュアル設定、オートモードは使いません。


撮影の設定はカメラ本体の性能とレンズ性能で変わってきます。一例としてD850とAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDの場合の設定です。ISO感度6400。最初の一枚目は必ずこの設定でテストします。


色温度は3800K。プレビューで確認してから実際の夜空の色に近くなるように調整します。


長秒時ノイズ低減はOFF。高感度ノイズ低減はノーマルかOFFその時の感度設定で変えます。


F値は開放より1〜2段絞り、シャッタースピードは15〜25秒でテスト撮影します。その後にF値を4~5.6まで上げていきます。


ピント合わせはライブビューで夜空の明るい星を見つけて最大まで拡大します。ズームリングは最大ズームで。


ピントリングを回し星が一番点像になる所で止めます。撮影中に微妙にずれる場合があるのでピント合わせは数回行います。

星景撮影はしっかり固定できる雲台と安定した三脚が大事。


実は赤道儀を使わない撮影のほうが多いです。一回設置したらなかなか移動できない赤道儀は不便に感じることもあり、三脚を持ってあちこち動いたほうが色々なバリエーションで星景写真が撮れます。赤道儀を使ったらもっとジャスピンの写真が撮れたのになぁと思う時もありますが、さすがに登山には持っていけませんね。


最近は少しずつ雲台をアルカスイス互換に変更しています。ネジ式の雲台とは違い、万力のようにしっかり締め付け固定される感じは、使ってみて初めてその良さが理解できた。統一規格のアルカスイス互換はこの先の展開が広がります。


L型プレートを装着すると、縦位置の撮影時に雲台を倒すことなくカメラを90度に設置できる。縦位置でも横位置同様の重心でカメラを固定、その安定感は抜群。


SIRUI(シルイ)は中国メーカーという理由だけで避けてきましたが、使ってみて考えが変わりました。この価格帯でここまでしっかりしたカーボン三脚が購入できるのは驚きです。国産メーカーも価格とデザインもっと頑張って欲しい。そして自由雲台の使い心地が想像以上に良い感触、3/8太ネジ+アルカスイス互換という組み合わせも安定感がある。個人的にはイタリア製マンフロットの攻めたデザインよりもSIRUIのほうが気に入ってます。

現状の撮影機材が完成形ではありません。これからも色々な方の機材を参考にしながら、入れ替えたり追加していくと思います。新しい機材のレビューが出来るようになればまた紹介致します。


天の川の一部とさそり座の巨星アンタレス。Nikon D800+AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G ポラリエ追尾撮影 ISO3200 WB3850K F1.8 10秒
極軸合わせが自動化できるポータブル赤道儀があれば星景撮影はもっと楽になりますね。